
保証会社って必要? 保証人がいるのに、なぜ別途費用がかかるの?
「連帯保証人をちゃんと立てているのに、なぜ保証会社にも加入しないといけないの?」「保証委託料って結局なんのお金?」——賃貸物件を探していると、こうした疑問に一度はぶつかりますよね。
実は、賃貸契約における保証会社の取り扱いは、2020年の民法改正を境に大きく変わりました。以前は親族の連帯保証人さえいれば十分だったケースも多かったのですが、今は保証会社への加入を必須とする物件が急増しています。費用が増えるのは正直つらいところですが、その背景をしっかり理解しておくと、物件選びや初期費用の交渉にも役立ちます。
この記事では、賃貸保証会社の基本的な仕組みから「なぜ必要なのか」「利用するメリット・デメリット」まで、わかりやすく解説します。
目次
- 賃貸保証会社とは?
- 保証人がいるのになぜ?――保証会社が求められる理由
- 家賃保証会社がないとどうなる?
- 保証会社を利用するメリット
- 保証会社を利用するデメリット
- まとめ:賢く使えば初期費用を抑えるチャンスにもなる
1. 賃貸保証会社とは?
賃貸保証会社とは、入居者が何らかの事情で家賃や管理費などを支払えなくなった場合に、入居者に代わって大家さん(貸主)へ立替払いをする会社のことです。「家賃保証会社」「賃貸保証会社」などとも呼ばれています。
仕組みとしては、まず入居者が保証会社と保証委託契約を結び、初回保証料を支払います。その後、万が一家賃が払えなくなった月が発生した場合、保証会社が大家さんへ代わりに家賃を支払ってくれます。ただし、これはあくまでも「立替払い」であって、入居者の支払い義務が消えるわけではありません。保証会社が大家さんへ払った後は、今度は保証会社から入居者へ「立て替えた分を返してください」と請求が来ます。ここは少し誤解されやすい部分なので、しっかり覚えておきましょう。
保証会社の存在は、関わる全員にとって一定の意味があります。
大家さんの立場から見ると、家賃収入が保証されるため、安心して賃貸経営を続けられます。家賃を滞納されたまま数ヶ月が経過し、最終的に強制退去…というケースは決して珍しくないですし、その間の収益損失や法的対応のコストは相当なものです。保証会社が絡んでいれば、そうした最悪のリスクを回避できるというわけです。
一方、入居者の立場から見ると、連帯保証人を立てる代わりに保証会社を利用できるという点が大きなメリットになります。親や親族に頼みにくい事情がある方、保証人に断られてしまった方にとって、保証会社は「実質的な保証人の代替手段」として機能してくれます。保証委託料という費用はかかりますが、人間関係に気を遣わずに済むという安心感は、お金に換えられない価値があると感じる方も多いようです。
2. 保証人がいるのになぜ?――保証会社が求められる理由

「私はちゃんと両親を連帯保証人として立てているのに、なんで保証会社にまで加入させられるの?」という疑問はとても自然です。ここには複数の理由が絡み合っています。
保証人は「取り立てにくい」という現実がある
連帯保証人は多くの場合、親や兄弟などの親族です。家賃を滞納した際に大家さんや管理会社が「連帯保証人に請求する」という行為は、法的には可能でも、実務的にはかなりハードルが高いのが実情です。親族同士の問題でもあるため、強く督促することへの心理的な抵抗があったり、連帯保証人本人も高齢で支払い能力が不十分だったりするケースも少なくありません。書面上は保証人がいても、いざというときに実際には機能しない…ということが起こりやすいのです。大家さんからすれば、そうした不確実性を抱えたまま貸し続けるのはリスクが高いと感じるのも無理はないですよね。
入居者側にも「保証人に頼みたくない」ニーズがある
社会的な背景として、核家族化や単身世帯の増加によって「身元を保証してくれる親族がいない」「頼める人間関係がない」という方が増えています。また、高齢の親しか保証人候補がいない場合、保証能力の審査で落とされるケースもあります。フリーランスや外国籍の方、転職直後で収入証明が取りにくい方など、従来は賃貸審査のハードルが高かった層にとっても、保証会社は「保証人なしで契約できる手段」として広く受け入れられています。保証会社は大家さんのためだけでなく、入居者側の多様なニーズにも応えている存在なんです。
3. 家賃保証会社がないとどうなる?
では、保証会社への加入なしで賃貸契約しようとした場合、どんなことが起こりえるのでしょうか。
連帯保証人が必須になる
保証会社なしの場合、代わりに連帯保証人を立てることが求められます。近年では保証会社加入を原則とする物件が増えていますが、「保証会社不要・保証人のみOK」という物件もゼロではありません。ただし、その場合は一般的に、保証人の収入や信用状況について厳格な審査が行われます。「安定した収入がある給与所得者であること」「年齢が65歳未満程度であること」「入居者と別住所に住んでいること」などを条件とされるケースが多く、そうした条件を満たせる保証人を見つけること自体が難しい方も少なくありません。
審査が厳しくなり、物件の選択肢が狭まる
保証会社が介在することで、大家さんは「万が一の際のリスクヘッジ」が確保できます。逆に保証会社なしとなると、大家さんは入居者本人の信用力や支払い能力をより慎重に判断しなければなりません。結果として、収入証明の提出が多く求められたり、審査通過のハードルが高くなったりするケースがあります。特に都心の人気物件や新築マンションは「保証会社加入必須」を条件にしているところがほとんどなので、保証会社なしで探すとなると、選べる物件の幅がぐっと狭くなってしまいます。
敷金を多く求められる可能性がある
敷金とは、退去時の原状回復費用や家賃滞納が発生した際の担保として、入居時に大家さんへ預けるお金のことです。保証会社に加入していれば家賃滞納リスクは保証会社がカバーしてくれるので、最近は敷金が1ヶ月分、あるいは0円という物件も珍しくありません。ところが保証会社なしの場合、大家さんはそのリスクをすべて自分で抱えることになるため、敷金を2〜3ヶ月分求めてくるケースも出てきます。保証会社への加入を断ったつもりが、結果的に初期費用が逆に高くなってしまった…というのは十分ありえる話です。
4. 保証会社を利用するメリット

保証料の相場は「家賃の0.5〜1ヶ月分」で、思ったより少ない
保証会社への加入にかかる初回保証料の相場は、家賃の50〜100%(0.5〜1ヶ月分)が一般的です。月10万円の物件であれば初回に5〜10万円の保証料がかかる計算で、この費用は賃貸契約の初期費用の一部として支払います。「1ヶ月分も取られるの?」と感じるかもしれませんが、連帯保証人を立てる手間や心理的な負担を考えると、それに見合う価値があると感じる方が多いのも事実です。
また、1〜2年ごとに更新料が発生するケースが多く、その相場は1万円前後または家賃の約10%程度です。毎月の家賃に上乗せする「月払いタイプ」(月額家賃の約0.5〜1%)を採用している保証会社もあります。短期居住なら月払いタイプが有利なケースもありますし、長期居住なら更新料が固定の一括払いタイプがお得になるケースも多いです。どちらが自分に合っているかは、担当の不動産スタッフに相談しながら選ぶとよいでしょう。
保証人に頼れない方の、強い味方になる
「親は高齢で収入がなく、保証人になれない」「身内が遠方にいて手続きが難しい」「友人には頼みにくい」…こうした事情を抱えている方にとって、保証会社は本当に心強い存在です。転職したばかりの方、フリーランスや個人事業主の方、外国籍の方など、連帯保証人を立てることにハードルがある方でも、保証会社の審査を通過できれば賃貸契約を進められます。プライバシーを守りながら、人間関係を壊すことなく手続きできるという点も、保証会社ならではの大きなメリットです。
選べる物件の幅がぐっと広がる
先ほども触れましたが、都心の高級マンションや新築物件の多くは保証会社加入が条件です。保証会社に加入できれば、そうした人気物件の中からも自由に選べるようになります。保証会社への加入は、あなたが選べる物件の幅を広げる「入場券」のようなものだと考えると、費用の見方も少し変わってくるのではないでしょうか。
5. 保証会社を利用するデメリット
長期間住むと、更新料の累計が積み重なる
保証会社の更新料は一般的に1〜2年ごとに1万円前後の支払いが必要です。2年ごとに1万円の更新料がかかる場合、10年住めば累計5万円を支払うことになります。それほど大きな金額ではないかもしれませんが、長く住めば住むほど積み重なっていくコストであることは頭に入れておきたいところです。月払いタイプを選べば更新料はかかりませんが、毎月の負担が増えるというトレードオフがあります。いずれにしても、契約前に「総支払額がどうなるか」を長期目線で計算しておくことをおすすめします。
審査に通らない場合がある
保証会社は業界団体による信用情報を共有しており、過去に家賃滞納の経歴がある方は審査に通過しにくくなる場合があります。また収入面での審査基準も保証会社によって差があるため、希望の物件の保証会社に通らなかった、ということも起こりえます。注意したいのは、焦って複数の保証会社に立て続けに審査申込みをしてしまうこと。審査落ちの情報が蓄積されてしまう可能性があるので、まずは担当の不動産会社に相談し、自分の状況に合った保証会社を一緒に選んでもらうのが賢明です。
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まとめ:賢く使えば初期費用を抑えるチャンスにもなる
大家さんにとっては家賃回収リスクのヘッジ、入居者にとっては保証人不要で契約できる手段として機能しています。2020年の民法改正によって連帯保証人の責任範囲が制限されたことで、保証会社を必須とする物件が増えているという背景もあります。
最終的に大切なのは、保証料を含めた初期費用全体をどう抑えるかという視点です。たとえば家賃15万円の物件で仲介手数料無料とフリーレント1ヶ月が付いていれば、それだけで約30万円超の節約になります。保証料(7〜15万円程度)を差し引いても、大きくお得になる計算です。保証会社への加入を「余計なコスト」ととらえるより、初期費用のトータル設計の中でうまくコントロールするという発想が、賢い物件探しにつながります。
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執筆監修

趙暉士(ちょうきし)|宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
賃貸リーシングとコンサルタントを経験し、後に売買仲介業務に従事。
(株)大京穴吹不動産、都心営業部、渋谷店、流通営業1課
