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家賃が安いのはワケがある!「安いから」で決めて後悔しないために知っておきたいこと

家賃


「相場より2万円も安い」「同じ間取りなのになぜかここだけ格安」──物件探しをしていると、そんな“お得すぎる”物件に出会うことがあります。家賃は毎月の固定費のなかでも特に大きな割合を占めるからこそ、「少しでも安く」と考えるのは当然のことです。ネットの物件情報サイトを見比べていて、周辺相場よりあきらかに安い部屋を見つけると、つい「ラッキー」と感じてしまう気持ちもよく分かります。

しかし、家賃が安いのには必ず理由があります。それが「駅から遠いだけ」「築年数が古いだけ」といった、内見や物件情報を見れば納得できる理由であれば、何の問題もありません。むしろ、自分の暮らし方に合っていれば積極的に選ぶべき「お得な物件」といえるでしょう。

一方で、なかには入居してから初めて気づくような、いわば“見落としがちな理由”が隠れているケースも少なくありません。原状回復に関する不利な特約、大家とのトラブルが絶えない管理体制、さらには事故物件であることが後から発覚するケースまで、安さの裏側にはさまざまな事情が潜んでいます。

この記事では、家賃が安い物件によくある理由を「納得できる理由」と「見落としがちな理由」に分けて整理したうえで、実際に安さだけで決めて後悔した人の体験談、そして契約前に確認しておきたいチェックポイントまで、まとめて解説していきます。これから部屋探しをする方は、ぜひ最後まで読んで、「安さ」に振り回されない物件選びの視点を身につけてください。




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1. 家賃が安い物件によくある「納得できる理由」



駅から遠い・アクセスが不便

最寄り駅やバス停から徒歩15分以上かかる、急行や快速が停まらない駅が最寄りである、といった立地条件は、家賃を下げる大きな要因のひとつです。不動産の家賃相場は「駅からの距離」に強く影響を受けるため、同じ広さ・同じ築年数の部屋であっても、駅からの距離が数分変わるだけで家賃に数千円〜1万円以上の差が生まれることもあります。

自転車移動が中心の人や、在宅ワークで通勤頻度が少ない人にとっては、駅から遠いことはそれほど大きなデメリットにならず、むしろコストパフォーマンスの良い選択になることもあります。バス便の物件であれば、本数や終バスの時間帯を確認しておくと、実際の生活シーンをイメージしやすくなるでしょう。



築年数が古い

築20年、30年以上経過した物件は、新築・築浅物件に比べて家賃相場が下がる傾向にあります。外壁や共用部の古さ、和式トイレやユニットバスなど設備面での古さが理由になっていることが多いですが、なかには内装だけリノベーション済みで水回りや壁紙がきれいという“掘り出し物件”も存在します。

築年数が古い物件を検討する際は、耐震基準がいつのものかも確認しておくと安心です。1981年6月以降に建築確認を受けた建物は新耐震基準が適用されているため、築年数だけで安易に不安を感じる必要はありません。管理会社がしっかり修繕計画を立てているかどうかも、あわせてチェックしておきたいポイントです。



階数が低い・眺望や日当たりが悪い

1階や2階の部屋、隣の建物と近接していて日当たりが悪い部屋は、防犯面や快適さの観点から敬遠されやすく、家賃も抑えられている傾向があります。特に1階の部屋は、外部からの視線や侵入リスクを気にする人が多いため、同じ建物内でも上層階より家賃が安く設定されがちです。

一方で「エレベーター待ちがない」「荷物の搬入がしやすい」「万が一の災害時に階段だけで避難できる」といったメリットを重視する人には向いている場合もあります。日当たりについても、洗濯物を部屋干しする習慣がある人や、そもそも日中は仕事で不在の人にとっては、それほど大きなデメリットにならないケースもあるでしょう。



繁忙期を避けた時期の空室

引っ越しシーズン(1〜3月)を過ぎた時期は入居希望者が減るため、家賃交渉がしやすくなったり、フリーレント(一定期間の家賃が無料になる制度)が付いたりすることがあります。貸主側からすると、空室が長引くこと自体が損失になるため、閑散期にはある程度の値下げや特典を用意してでも入居者を確保したい、という思惑があるのです。

これは物件そのものの欠点ではなく、あくまで「タイミングの問題」なので、特に気にする必要のない安さの理由といえるでしょう。むしろ、繁忙期を避けて部屋探しをすること自体が、賢い節約術のひとつだといえます。





2. 要注意!安さの裏に隠れた「見落としがちな理由」



間取りが特殊

極端に狭い、収納がほとんどない、部屋の形がいびつな「変形間取り」である、といった物件は家賃が下がりやすい傾向にあります。図面上は普通の1Kやワンルームに見えても、実際には柱が部屋の中央に張り出していたり、天井が斜めになっていたりして、家具の配置に苦労するケースもあります。

図面だけでは分かりにくいため、内見時に実際の家具配置をイメージしながら確認することが大切です。可能であれば、手持ちの家具の寸法をメモして持参し、実際に置けるかどうかをシミュレーションしてみるとよいでしょう。



原状回復の範囲が甘い

退去時の原状回復に関する特約が入居者に不利な内容になっているケースがあります。「経年劣化分もすべて入居者負担」といった契約になっていると、通常であれば大家側が負担すべき経年劣化やクロスの日焼けなどについても、退去時に想定外の費用を請求されることがあります。

国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年劣化や通常の使用による損耗は、原則として貸主負担とされています。しかし、契約書に特約としてこれと異なる取り決めが明記されている場合は、その内容が優先されることもあるため、契約書の特約事項は必ず事前に確認しましょう。



大家が厳しい・対応にクセがある

騒音や共用部の使い方などに関するルールが極端に厳しい、あるいは逆に管理がずさんで大家と入居者間のトラブルが多い、といった物件は、住民の定着率が低く、その結果家賃が下げられていることがあります。

たとえば「来客禁止」「洗濯物を外に干してはいけない」といった独自ルールが細かく設定されている物件や、逆に設備の不具合を報告してもなかなか対応してもらえない物件は、居住者の満足度が下がりやすく、退去率が高くなる傾向があります。管理会社が入っているか、それとも大家が個人で直接管理しているかによっても、対応のスピード感は大きく変わってきます。



近く取り壊し予定がある

老朽化や再開発などの事情で、数年以内に取り壊しが決まっている物件は、その期間だけ家賃を安く設定して入居者を確保しているケースがあります。「定期借家契約」という契約形態が採用されている場合は、契約期間が満了すると更新ができず、退去を求められることになります。

契約期間や更新の可否については、必ず事前に確認しておく必要があります。特に「普通借家契約」なのか「定期借家契約」なのかは、契約書の冒頭部分に明記されているはずですので、見落とさないようにしましょう。



修理・メンテナンスされない設備がある

エアコンや給湯器などの設備が故障しても修理してもらえない、または「設備ではなく残置物」として扱われ、大家に修理義務がない、といったケースもあります。残置物とは、前の入居者が残していったものを、大家がそのまま「使ってもよいもの」として提供している状態を指し、法律上は設備には該当しないため、故障しても修理義務が生じません。

この場合、家賃は安くても入居後の修理費用は自己負担になる可能性があるため注意が必要です。契約時に、備え付けの設備が「設備」として契約書に明記されているか、それとも「残置物」として扱われているかを、必ず確認しておきましょう。



事故物件の可能性

過去にその部屋、またはその建物で人の死が発生している「事故物件(心理的瑕疵物件)」である可能性も、安さの理由として無視できません。事故物件と聞くと身構えてしまう方も多いと思いますが、まずは正しい知識を持っておくことが大切です。

事故物件については、2021年に国土交通省が指針を公表し、取り扱いの基準が明確になりました。この指針では、賃貸契約の場合は事故物件の告知義務におおむね3年の時効があるとされています。つまり、事件性のある死亡や特殊清掃が発生した物件でも、発生から3年が経過すれば、原則として告知義務がなくなる可能性があるということです。

ただし、事件性が高く社会的な影響が大きい場合や、借主から質問があった際は3年を過ぎても告知義務が生じるとされています。つまり、こちらから「過去にこの部屋、あるいは建物で亡くなった方はいませんか」と質問すれば、不動産会社は原則として正確に答える義務を負うということです。少しでも不安がある場合は、遠慮せず不動産会社に直接尋ねることが重要です。




3. 安い物件で「後悔した人」のリアルな体験談


体験談1:「駅から遠い」を甘く見ていたAさん(20代・会社員)

相場より1万円安いという理由だけで、駅から徒歩20分の物件を契約したAさん。内見時は天気の良い日中に見学したこともあり、「歩けば運動になるし、家賃が安ければ問題ない」と前向きに捉えていました。

しかし実際に住み始めてみると、雨の日や荷物が多い日、残業で疲れて帰る日には、その距離が想像以上に大きな負担になったといいます。特に冬場は日が短く、夜道を20分歩くことに不安を感じることも増えました。結局、通勤の負担がストレスとなり、契約から半年で引っ越しを決意することになりました。トータルで見ると、引っ越し費用や敷金・礼金を考えると、決して「安い買い物」ではなかったとAさんは振り返っています。



体験談2:「特約」を確認しなかったBさん(30代・単身女性)

家賃の安さに惹かれて即決したBさんは、退去時に高額な原状回復費用を請求されてトラブルになりました。契約書には「経年劣化分もすべて入居者負担」という特約が記載されていましたが、契約時にきちんと読んでいなかったことが原因でした。

引っ越しの慌ただしさのなかで、契約書は「サインをする場所だけ」を確認して済ませてしまったというBさん。退去時に、通常なら大家負担であるはずのクロスの張り替え費用まで請求されて初めて、特約の存在に気づいたそうです。不動産会社に問い合わせたものの、契約書に明記されている以上、費用負担を覆すことは難しく、泣く泣く支払うことになりました。



体験談3:「事故物件」と知らずに契約しかけたCさん(20代・学生)

相場よりかなり安い物件を見つけたCさんは、周囲の友人にも「そんなに安いなんてラッキーだね」と言われ、契約する気満々でした。しかし念のため、不動産会社に「なぜこんなに安いのか」を質問したところ、実は過去に孤独死があった事故物件であることが判明しました。

担当者は正直に告知してくれたため、Cさんは事情を理解したうえで、最終的には契約を見送るという判断をすることができました。もし質問をしていなければ、そのまま契約していた可能性も十分にあったといいます。「聞かなければ気づかないまま契約していたかもしれない」とCさんは振り返っており、この経験から「安い物件ほど、遠慮せず理由を聞くべきだ」と強く感じたそうです。

これらの体験談に共通するのは、「安さの理由を確認しなかった、あるいは確認が不十分だった」という点です。逆にいえば、事前にひと手間かけて確認するだけで、これらの後悔の多くは防ぐことができるということでもあります。次の章では、こうした後悔を防ぐための具体的なチェックポイントを紹介します。



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4. 後悔しないためのチェックポイント


安い物件を選ぶこと自体は、決して悪いことではありません。大切なのは「安さの理由」を自分自身できちんと把握したうえで、納得して契約することです。ここでは、内見・契約前に確認しておきたい具体的なチェックポイントを紹介します。



「なぜ安いのか」を不動産会社に直接聞く

一番シンプルで確実な方法です。「相場よりお安いようですが、何か理由はありますか?」とストレートに質問しましょう。事故物件や近隣トラブルなど、告知義務のある事項については、正直に答えてもらえるはずです。遠慮してしまう気持ちも分かりますが、数十万円単位の初期費用や、その後長期間住み続けることを考えれば、質問するコストは決して高くありません。



曜日・時間帯を変えて周辺環境を確認する

内見は昼間の1回だけで決めず、可能であれば夜間や休日にも周辺を歩いてみましょう。日中は静かでも夜になると騒がしい、人通りが少なく暗い、といったギャップが見つかることがあります。特に、繁華街や幹線道路が近い物件は、平日の昼間と週末の夜とで雰囲気が大きく変わることも珍しくありません。可能であれば、実際に住むことになる曜日・時間帯に合わせて周辺を歩いてみることをおすすめします。



事故物件公示サイトで調べてみる

気になる場合は、事故物件情報を扱う公開サイトで住所を検索してみるのも一つの方法です。ただし、掲載されていないからといって事故物件ではないと断定はできないため、あくまで参考情報として活用しましょう。最も確実なのは、前述の通り不動産会社に直接質問することです。



部屋の中だけでなく建物全体もチェックする

共用部分(廊下・ゴミ置き場・掲示板など)の清掃状態や管理状況は、住民の質や管理会社の対応力をはかる目安になります。ゴミ出しのルールが守られていない、掲示板に苦情の貼り紙がある、駐輪場が乱雑になっている、といったサインは要注意です。エントランスや共用廊下がきちんと清掃されているかどうかは、管理会社がしっかり機能しているかどうかを判断する分かりやすい指標になります。



口コミ・レビューサイトで物件名や住所を検索する

Googleマップの口コミや賃貸系の口コミサイトで、実際の入居者・退去者の声を探してみるのもおすすめです。「音が響く」「管理会社の対応が悪い」といったリアルな情報が見つかることもあります。もちろん、口コミは主観的な意見も含まれるため、あくまで一つの参考情報として、複数の情報源と合わせて判断することが大切です。

これらのチェックを行ったうえで契約すれば、「安さ」に対する不安要素をかなり減らすことができます。手間はかかりますが、入居後に後悔しないためには、決して省略できないステップだといえるでしょう。


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まとめ:安さの理由を正しく見極めて、賢く部屋を選ぼう


家賃が安い物件には、「駅から遠い」「築年数が古い」といった納得しやすい理由もあれば、「事故物件」「大家が厳しい」「原状回復の特約が不利」といった見落としがちな理由も存在します。大切なのは、安さに飛びつく前に、その理由をきちんと確認し、自分が許容できる条件かどうかを見極めることです。

今回紹介した体験談からも分かるように、後悔している人の多くは「安さの理由をきちんと確認しなかった」というシンプルな共通点を持っています。逆にいえば、不動産会社に一言質問するだけで防げた後悔も少なくありません。物件を決める前には、ぜひ本記事で紹介したチェックポイントを一つずつ確認してみてください。

とはいえ、「安さの理由を一つひとつ確認するのは大変」「そもそも信頼できる情報を出してくれる不動産会社を選びたい」と感じた方も多いのではないでしょうか。

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  • 執筆監修

    趙暉士(ちょうきし)|宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

    賃貸リーシングとコンサルタントを経験し、後に売買仲介業務に従事。

    (株)大京穴吹不動産、都心営業部、渋谷店、流通営業1課

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