ポテチだけじゃない。ナフサショックが新築マンションを

ポテチだけじゃない。ナフサショックが新築マンションを"もう1段"高くする!?

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最近、SNSやニュースで「ナフサショック」という言葉を目にする機会が増えてきました。きっかけの一つが、大手菓子メーカー・カルビーがポテトチップスのパッケージを一時的に白黒デザインへ切り替えたというニュースです。「お菓子の値上げの話でしょ?」と思った方も多いかもしれません。

ですが、この「ナフサショック」、実はマイホームやマンションの購入を考えている方にとって、決して他人事ではありません。断熱材や配管、浴室設備など、住宅を構成するさまざまな部材にナフサが使われているためです。すでに大手住宅設備メーカーがユニットバスの受注を一時停止するなど、住宅業界でも現実の影響が出始めています。

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こちらの記事では、そもそもナフサショックとは何なのか、なぜ新築マンション価格に影響するのか、そして今後の見通しと購入のタイミングについて、順を追って解説していきます。




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1. 「ナフサショック」とは?




きっかけはカルビーのパッケージ変更だった

「ナフサショック」という言葉が一気に広まった象徴的な出来事が、大手菓子メーカー・カルビーによるポテトチップスのパッケージの一時的な変更でした。普段何気なく手に取っているお菓子の包装が変わるというニュースは、多くの人にとって「ちょっとした異変」として記憶に残ったのではないでしょうか。

実はこの変更の裏には、原料調達をめぐる深刻な事情がありました。それが「ナフサショック」です。



「ナフサ」って結局なに?

そもそも「ナフサ」とは、原油を精製する過程で取り出される透明な液体のことです。「粗製ガソリン」とも呼ばれますが、そのままガソリンとして使われるわけではありません。プラスチックや合成ゴム、化学繊維、塗料など、私たちの身の回りにあるさまざまな工業製品の原料になっている物質です。お菓子のパッケージフィルムも、その一つにすぎません。

このナフサの供給が不安定になり、価格が急騰している状態を指して「ナフサショック」と呼ばれています。



引き金は中東情勢の緊迫化

背景にあるのは、中東情勢の緊迫化です。2026年2月末、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃をきっかけに情勢が一気に緊迫化し、2026年3月にはホルムズ海峡が事実上封鎖状態となりました。

日本が輸入する原油の多くは中東産であり、ホルムズ海峡は日本向け資源輸送の要となるルートです。さらに、日本は輸入ナフサだけでなく、国内で生産するナフサも中東産原油に依存しているため、原油供給の混乱がそのままナフサの供給不安・価格高騰へと直結する構造になっています。



ポテチは氷山の一角にすぎない

つまり、「ポテチの色が変わった」というのは、あくまで氷山の一角です。私たちの生活のあらゆる場所に入り込んでいるナフサの供給不安は、菓子業界だけにとどまらず、次に住宅・不動産市場へと波及していきます。次の章では、具体的にどんな建材や住宅設備がナフサに依存しているのか、詳しく見ていきましょう。





2. なぜ住宅・マンションにも影響するのか?



実は住宅にもナフサだらけだった

「お菓子の原料が住宅に関係あるの?」と疑問に思うかもしれませんが、実はナフサは住宅建材や住宅設備のいたるところに使われています。断熱材や配管材、樹脂サッシといった住宅建材に使用されているほか、キッチンや浴室などの住宅設備にも多く使われています。さらに接着剤やシーリング材、塗料などにもナフサ由来の原料が含まれているため、住宅価格への影響は決して小さくありません。

つまり、家を一軒建てるプロセスのほぼ全工程に、ナフサから作られる素材が関わっているということです。



「ウッドショック」との違いは"範囲の広さ"

住宅業界では過去にも似たような資材高騰を経験しています。記憶に新しいのが、2021年に起きた「ウッドショック」です。世界的な木材需要の高まりによって供給不足が発生し、木材価格が高騰した現象で、国内でも柱や合板が不足し、新築住宅の着工遅れや建築費の上昇が相次ぎました。

ただし、当時は木材という限られた素材だけの問題でした。今回のナフサショックは、断熱材・塗料・配管など、住宅建設に関わるさまざまな材料の価格上昇や品薄が同時多発的に広がっています。「ウッドショックより深刻」と評される理由は、まさにこの影響範囲の広さにあります。



一つの資材ショックでは終わらない構造

住宅業界は現在、「ウッドショック」「アイアンショック」に続く第3の波として「ナフサショック」の直撃を受けている、という指摘もあります。木材、鉄、そして石油化学製品と、住宅を構成するあらゆる資材が次々と高騰の波にさらされている状況です。

一つひとつの資材ショックは個別の要因で起きているものですが、それらが重なり合うことで、住宅全体のコストを底上げし続けているというのが実情です。特定のメーカーや工法を選べば回避できる、という単純な話ではなくなってきているのです。





3. すでに始まっている異変。



大手メーカーがユニットバスの受注を一時停止

ナフサショックは、すでに「これから起きるかもしれない懸念」ではなく、現場で実際に起きている変化として表れ始めています。象徴的だったのが、大手住宅設備メーカーがユニットバスの受注を一時停止したというニュースです。浴室設備という、新築・リフォームどちらでも避けて通れない部材で供給が止まったことは、業界に強い危機感を広げました。



「家は建っているのに引渡せない」という異例の事態

さらに深刻なのが、工期そのものへの影響です。断熱材や接着剤、ユニットバスといった設備・建材の供給遅延によって、「家は建っているのに設備が入らず、引渡しができない」という異例の事態が各地で起きています。

これは住宅購入者にとって他人事ではありません。工期が延びれば、つなぎ融資の利息が膨らんだり、今住んでいる賃貸の家賃と新居の住宅ローンを二重に払わなければならない期間が発生したりと、家計への負担が刻一刻と増していきます。



値上げの波はすでに価格に転嫁され始めている

建材価格の高騰や住宅設備の受注停止など、現場ではすでに具体的な変化が起きています。断熱材や配管など多くの建材がナフサを使用しているため、供給不安がそのままコストに跳ね返り、住宅会社が価格に転嫁する動きも出てきています。「いつか値上がりするかもしれない」という段階はすでに過ぎ、価格・納期の両面で影響が顕在化しているのが今の局面です。



なぜ「他人事ではない」と言えるのか

これまでの資材ショックとの違いは、影響範囲の広さです。断熱材・塗料・配管など、住宅建設に関わる多様な材料で同時多発的に価格上昇や品薄が起きているため、特定のメーカーや工法を避ければ回避できる、という話ではなくなっています。新築を検討している人にとっても、すでに契約済みで着工を待っている人にとっても、無視できない状況になりつつあるのです。



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4. 新築マンション価格は"もう1段"上がるのか?今後の見通しと購入のタイミング



ただでさえ高騰していた新築マンション市場

ナフサショック以前から、新築マンション価格の高騰はすでに大きな話題になっていました。首都圏の新築分譲マンションの平均価格は9,000万円を超え、都心では中古でも売出価格が1億円を超えることが珍しくないという水準まで来ています。この上昇局面に、資材コストの押し上げ要因がさらに重なる形になります。

建築費や人件費の高騰が続いているため新築価格は下がりにくい構造がすでにあり、そこにナフサショックによる建材・設備コストの上昇が加わります。デベロッパーにとっては、原価が上がった分をどこかで吸収するか、販売価格に転嫁するかの選択を迫られる場面が増えていくはずです。供給戸数が絞られている中での資材高となれば、価格転嫁が優先されやすいのは想像に難くありません。

一方で、都心の中古マンションでは価格高騰の勢いに一服感が出ており、投資目的の需要が鈍っているとの見方も出ています。ナフサショックはあくまで「コストを押し上げる要因」であって、需要そのものを急激に冷やす材料ではないため、暴落のシナリオにはつながりにくいというのが今のところの大方の見立てです。



購入検討者はどう動くべきか

「資材高で今後も上がりそうだから急いで買うべき」という声と、「金利上昇や在庫増でいずれ調整局面が来るかもしれないから待つべき」という声が同時に存在しているのが、今の新築マンション市場です。


  • ✓気に入った物件が今の予算内にあるなら、先延ばしにするほど資材高の影響を受けやすい点は意識しておく
  • ✓「値上がりが怖いから」という理由だけで焦って妥協した物件を選ぶのは避けたい
  • ✓工期が絡む新築(注文住宅や竣工前のマンション)は、納期遅延によるつなぎ融資の負担増も想定しておく

ナフサショックは今後も中東情勢次第で長期化する可能性があり、「いつ落ち着くか」を正確に予測するのは難しい状況です。だからこそ、値動きを追いかけて一喜一憂するより、自分たちの予算とライフプランに合った物件かどうかを軸に判断することが、これまで以上に重要になってきそうです。



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まとめ


ナフサショックは、一見するとお菓子のパッケージ変更という小さな出来事から広まった言葉ですが、その実態は中東情勢の緊迫化を背景にした原油・石油化学製品の供給不安という、かなり根の深い問題です。断熱材や樹脂サッシ、ユニットバスなど、住宅を構成する幅広い部材に影響が及んでおり、すでにユニットバスの受注一時停止や工期遅延といった形で現場に表れ始めています。

ただでさえ高騰していた新築マンション価格に、この資材コストの上昇が重なることで、「もう1段」価格が押し上げられる可能性は十分に考えられます。かといって、需要を急激に冷やす材料でもないため、暴落を期待して待ち続けるのも得策とは言えません。大切なのは、値動きに振り回されすぎず、自分たちの予算とタイミングに合った選択をしていくことです。

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  • 執筆監修

    趙暉士(ちょうきし)|宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

    賃貸リーシングとコンサルタントを経験し、後に売買仲介業務に従事。

    (株)大京穴吹不動産、都心営業部、渋谷店、流通営業1課

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