
今年の秋、なんだか早くない?寒くなる前にやっておきたい賃貸の冬じたく。
「最近、朝晩ちょっと肌寒くない?」
9月の終わりごろから、そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか。「今年、なんだかさむい気がする」「去年の今ごろはまだ半袖だったよね」なんて会話を、職場や家族とした方もいるかもしれません。
実はその感覚、気のせいではないんです。東京では今年の9月、平均気温が5年ぶりに平年を下回りました。ここ数年の「終わらない夏」に慣れていた私たちにとって、今年の秋はひと足早くやってきたように感じられたわけですね。
とはいえ、本格的な冬はまだこれから。しかも賃貸住宅には「窓を勝手に交換できない」「壁に穴をあけられない」など、持ち家とは違う制約があります。だからこそ、寒さが厳しくなる前に「賃貸でもできる工夫」を知っておくことが大切です。
この記事では、今年の東京の気温データを振り返りながら、窓や床の寒さ対策、エアコンの上手な使い方、そして退去時に困らないための結露・カビ対策まで、賃貸の「冬じたく」をまとめてご紹介します。
1. 今年の東京は「秋が早かった」?データで見る今年の気温

東京の9月は5年ぶりに「平年以下」
ウェザーニュースによると、今年の9月は秋雨前線や台風の影響で、関東や東海、東北の太平洋側では日照時間が少なく、気温が低めに推移しました。東京都心の9月の平均気温は29日までの集計で22.8℃。平年と比べて0.5℃低い結果です。
気象庁の9月のまとめでも、月の上旬は北日本・東日本を中心にひんやりとした空気が流れ込み、東日本の月平均気温は「平年並」とされています。
9月の上旬に雨や曇りの日が続き、「急に涼しくなったな」と感じたのは、まさにこのタイミングだったのかもしれません。
「ここ数年が暑すぎた」のも理由のひとつ
「今年さむい」と感じる理由は、今年の気温だけではありません。実は、ここ数年の9月が異常なほど暑かったことも大きく影響しています。
同じくウェザーニュースの集計によると、全国の9月の平均気温が平年よりどれだけ高かったかは、次のとおりです。
【9月の平均気温】
2023年 +2.66℃
2024年 +2.52℃
2025年 +2.49℃
2026年 +0.5℃前後
つまり、「9月=まだ真夏」という感覚が当たり前になっていた分、平年並みの気温でも体感的にはぐっと涼しく、さむく感じられたというわけです。体がまだ夏モードのまま秋を迎えたことで、気温の変化に追いつけなかった方も多いのではないでしょうか。
冬じたくは「早め」がおすすめ
ただし、このまま一気に冬に突入するとは限りません。ウェザーニュースでは、10月は全国的に平年より気温が高くなる予想も出ています。
暖かい日とさむい日が入れ替わる今の時期は、つい「まだ大丈夫かな」と冬じたくを後回しにしがちです。でも、本当に寒くなってからでは、人気の防寒グッズが品薄になっていたり、エアコンの修理依頼が混み合っていたりすることも。
比較的過ごしやすい今のうちに、部屋の寒さ対策や設備の点検を少しずつ進めておくのが、賢い冬じたくのコツです。
2. 寒さの原因は窓と床!賃貸でもできる対策とは?

部屋が寒いのは「窓」と「床」のせい
住まいの熱は、冬場は主に窓から逃げていくといわれています。特に築年数が経った物件では、一枚ガラスやアルミサッシの窓が多く、外の冷気がそのまま室内に伝わりがちです。窓際に立つとひんやりするのは、冷やされた空気が窓から床へと流れ落ちてくるからなんですね。
もうひとつの原因が床です。暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へたまる性質があるため、床付近はどうしても冷えやすくなります。1階の部屋やフローリングの部屋では、足元の冷えを特に感じやすいでしょう。
つまり、窓と床を押さえるだけで、部屋の暖かさはぐっと変わるということです。
窓の寒さ対策
断熱シートを貼る
窓ガラスに貼るだけで、冷気の侵入や結露を和らげてくれる定番アイテムです。水で貼るタイプなら、はがすときも跡が残りにくく賃貸向きです。
ただし、ガラスの種類によっては、シートを貼ることで熱がこもり、ガラスが割れてしまう「熱割れ」が起きることがあります。網入りガラスや複層ガラスの窓は特に注意が必要なので、購入前に商品の「対応ガラス」を必ず確認しましょう。
カーテンを厚手・長めのものに替える
床まで届く丈の長いカーテンにすると、窓とカーテンのすき間から冷気が流れ込むのを防げます。断熱・遮熱タイプのカーテンや、レースカーテンとの二重使いもおすすめです。カーテンの上部から冷気が漏れる場合は、カーテンボックスやカバーを使うのも効果的です。
すきまテープでサッシのすき間をふさぐ
窓を閉めているのに「なんだかスースーする」と感じるなら、サッシのすき間から風が入っているのかもしれません。すきまテープを貼るだけで、体感がかなり変わります。「はがせる」「賃貸OK」と書かれたものを選ぶと安心です。
窓際に冷気をブロックするボードを置く
窓の下に立てかけるタイプの断熱ボード(冷気ストップパネル)は、置くだけなので窓や壁を傷つける心配がありません。工事も道具もいらないので、賃貸にぴったりの対策です。
床の寒さ対策
ラグやカーペットを敷く
フローリングの冷たさを和らげる、いちばん手軽な方法です。厚みのあるものや、裏面に断熱素材やアルミシートが使われているものを選ぶと、より効果を感じやすくなります。
ジョイントマットやコルクマットを重ねる
ラグの下にジョイントマットやコルクマットを敷くと、床からの冷えをさらにシャットアウトできます。家具による床の傷やへこみの防止にもなるので、賃貸では一石二鳥です。
スリッパやルームシューズを活用する
シンプルですが、足元から体を冷やさないことはとても大切です。モコモコ素材のルームシューズは、それだけで冬の部屋時間を快適にしてくれます。
少しの工夫で冬の快適さは大きく変わる
ここで紹介した対策は、どれも数百円〜数千円程度で始められるものばかりです。いきなり全部そろえなくても、「いちばん寒いと感じる場所」から取り入れてみるだけで、冬の過ごしやすさはぐっと変わります。
なお、賃貸で対策をするときは「退去時に元に戻せるか」を必ず意識しましょう。強力な両面テープや粘着力の強いシートは、はがすときに跡が残ったり、壁紙やサッシを傷めたりすることがあります。
3. エアコンの使い方と点検で暖房費を抑える!

本格的な冬の前に「試運転」をしておこう
久しぶりに暖房をつけたら、温風が出ない、変なにおいがする、聞き慣れない音がする…。そんなトラブルが、さむくなってから起きると本当に困ります。
まだ暖かい日があるうちに、一度暖房モードで試運転をしておきましょう。設定温度を高めにして30分ほど運転し、しっかり温風が出るか、においや音、水漏れなどの異常がないかを確認しておくと安心です。
寒さが本格化すると修理や点検の依頼が集中し、対応までに時間がかかることもあります。「早めの試運転」は、冬を快適に過ごすための第一歩です。
フィルター掃除はいちばん手軽な節約術
エアコンのフィルターにホコリがたまっていると、空気をうまく取り込めず、部屋を暖めるのに余計な電力がかかってしまいます。暖房の効きが悪いと感じたら、まずフィルターをチェックしてみてください。
お手入れは、掃除機でホコリを吸い取るだけでもOKです。汚れがひどい場合は水洗いし、しっかり乾かしてから戻しましょう。冬の間は2週間に1回程度を目安にすると、効率よく運転できます。
風量は「自動」がおすすめ
「弱」にしたほうが節電になりそうに思えますが、実は部屋が暖まるまでに時間がかかり、かえって電力を使ってしまうことがあります。自動運転なら、最初に一気に暖めてから効率よく温度を保ってくれます。
風向きは「下向き」に
暖かい空気は上にたまりやすいため、風向きを下向きに設定すると、足元まで暖かさが届きやすくなります。
短時間の外出ならつけっぱなしも選択肢
エアコンは運転開始時にもっとも電力を使います。近所のコンビニに行く程度の短い外出なら、こまめに消すよりつけたままのほうが効率的な場合もあります。外出時間に合わせて使い分けてみましょう。
サーキュレーターと加湿で体感温度アップ
サーキュレーターで空気をかき混ぜる
天井付近にたまった暖かい空気を、サーキュレーターで部屋全体に循環させましょう。エアコンの対角線上に置き、天井に向けて風を送るのが効果的です。同じ設定温度でも、足元の暖かさがかなり変わります。
加湿で暖かく感じる
同じ室温でも、湿度が高いほうが暖かく感じられます。加湿器がない場合は、洗濯物の部屋干しや、濡れタオルを干すのも手軽な方法です。
ただし、加湿しすぎると結露やカビの原因になります。湿度は40〜60%程度を目安にしましょう。この結露については、次の章で詳しくお話しします。
室外機のまわりもチェック
意外と見落としがちなのが室外機です。室外機の前に物を置いていたり、落ち葉やゴミがたまっていたりすると、運転効率が下がってしまいます。ベランダに置いている場合は、まわりをすっきりさせておきましょう。
エアコンの不具合は管理会社へ
賃貸物件のエアコンが「設備」として備え付けられている場合、通常の使用による故障の修理は、基本的に貸主側の負担となるケースが多いです。不具合を見つけたら、自分で業者を手配する前に、まずは管理会社や大家さんに連絡しましょう。
一方、前の入居者が残していった「残置物」扱いのエアコンは、修理費の負担が異なることがあります。契約書を確認するか、管理会社に問い合わせておくと安心です。
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4. 退去時に困らないために

冬は「結露」の季節
さむい朝、窓ガラスがびっしょり濡れていた経験はありませんか?これが結露です。暖かく湿った室内の空気が、外の冷気で冷やされた窓に触れることで、水滴になって現れます。
結露は窓だけでなく、北側の壁、家具の裏、押し入れやクローゼットの中など、空気が動きにくく冷えやすい場所にも発生します。前の章で紹介した加湿や部屋干しも、やりすぎると結露の原因になるので注意が必要です。
結露を放置すると退去時の負担になることも
結露をそのままにしておくと、カビが生えたり、壁紙やサッシのゴムパッキン、窓まわりの木枠にシミや傷みが出たりすることがあります。
賃貸住宅の退去時のルールについては、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で一般的な考え方を示しています。ガイドラインでは、普通に暮らしていて生じる汚れや経年劣化(通常損耗)は貸主の負担とする一方、借主の不注意や手入れ不足によって生じた傷みは、借主が負担すべきものと整理されています。
結露そのものは建物の構造によっても起こるため、すべてが借主の責任になるわけではありません。ただ、結露に気づいていながら拭き取りや換気をせずに放置し、カビやシミを広げてしまった場合は、手入れ不足とみなされ、修繕費を請求される可能性があります。
「冬だから仕方ない」で済ませず、日ごろのちょっとしたケアを心がけましょう。
今日からできる結露・カビ対策
こまめに換気する
さむい時期でも、1日に数回、数分ほど窓を開けて空気を入れ替えましょう。2か所の窓を開けると、空気の通り道ができて効率よく換気できます。キッチンや浴室の換気扇を回しておくのも効果的です。
結露は朝のうちに拭き取る
窓の結露は、見つけたらタオルや結露取りワイパーでこまめに拭き取りましょう。窓の下部に貼る結露吸水テープも便利です。サッシのレールにたまった水も忘れずに拭いておくと、カビの予防になります。
家具は壁から少し離す
タンスや本棚を壁にぴったりつけて置くと、裏側に湿気がこもりやすくなります。5cmほどすき間をあけておくだけで、空気が流れてカビを防ぎやすくなります。
押し入れやクローゼットにも湿気対策を
すのこを敷いたり、除湿剤を置いたりして、湿気がたまらないようにしましょう。晴れた日には扉を開けて、中の空気を入れ替えるのもおすすめです。
湿度計で「見える化」する
湿度計をひとつ置いておくと、加湿のしすぎや結露しやすい状態に気づきやすくなります。数百円から手に入るので、冬じたくのアイテムとしてぜひ取り入れてみてください。
「おかしいな」と思ったら早めに管理会社へ
冬は、住まいの設備トラブルが起きやすい季節でもあります。次のような不具合に気づいたら、自分で修理しようとせず、早めに管理会社や大家さんに相談しましょう。
連絡するときは、不具合の様子をスマートフォンで撮影しておくのがおすすめです。状況が伝わりやすいうえ、日付入りの記録として残せるので、退去時の話し合いでも安心材料になります。
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まとめ|早めの冬じたくで、あたたかい冬を
今年の東京は、9月の平均気温が5年ぶりに平年を下回り、ここ数年に比べてひと足早く秋の訪れを感じる年になりました。「今年はさむい」と感じたその感覚は、データの面からも裏付けられていたわけです。
ご紹介した冬じたくはどれも賃貸のままで今日から始められることばかりです。本格的な冬が来る前に、できるところから取り入れてみてくださいね。

執筆監修

趙暉士(ちょうきし)|宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
賃貸リーシングとコンサルタントを経験し、後に売買仲介業務に従事。
(株)大京穴吹不動産、都心営業部、渋谷店、流通営業1課


