
9月なのにエアコン止められない人へ。適切な設定温度は?体に悪い?初秋エアコン論争に終止符。
暦の上では秋なのに、家に帰ってまずやることは今日もエアコンのスイッチ——そんな毎日を送っていませんか?
9月に入っても最高気温30℃超えの日が珍しくなくなった昨今、「もう秋なのにエアコンをつけっぱなしで大丈夫かな」「電気代がもったいない気もするけど、暑くて我慢できない」と、悩みながら過ごしている方は少なくないはずです。実際、SNSでも「9月なのにエアコン止められない」という声は毎年のように話題になります。
この記事では、初秋ならではのエアコン論争に終止符を打つべく、環境省の指針など公的な情報も交えながら正しい設定温度の目安や、「つけっぱなしは体に悪い」という噂の真相、さらには不動産の視点から「そもそもエアコンに頼りすぎない部屋選び」のポイントまで、まとめて解説します。
1. 9月なのにエアコンが手放せない…

暦の上ではとっくに秋なのに、リビングのエアコンはまだフル稼働——そんな声がSNSでも増えています。「もう9月なのに」と罪悪感を覚えながらも、スイッチを切れない人は少なくないようです。
気温はまだ真夏並み
9月に入っても最高気温30℃超えの日が続く年は珍しくありません。近年は「残暑」という言葉では収まらないほど、9月後半まで真夏日・熱帯夜が続く年も増えています。カレンダー上の「秋」と、実際の気温には大きなズレがあり、体は季節の変化についていけないまま過ごすことになります。特に日中は真夏とほとんど変わらない暑さが続くこともあり、「秋だから」という理由だけでエアコンを我慢するのは、熱中症のリスクも含めて体への負担が大きいといえるでしょう。
見落とされがちな「湿度」の存在
厄介なのは気温だけでなく湿度です。真夏よりは涼しく感じても、蒸し暑さが残っていると体感温度は下がりにくく、エアコンなしでは寝苦しさや不快感が続きます。特に台風シーズンとも重なる9月は湿度が高い日が多く、「気温はそこまで高くないのに、じっとり暑い」と感じる日が続くのもこの時期の特徴です。人が感じる暑さは気温だけでなく、湿度・気流・日射・輻射熱といった複数の要素の組み合わせで決まるため、温度計の数字だけを見て「もう涼しいはず」と判断すると、実際の体感とズレてしまうことがあります。
「もったいない」と「我慢できない」のはざまで
電気代の値上がりもあり、「そろそろ消すべきでは」という節約意識と、「暑くて眠れない」という体感のあいだで揺れる人は多いはず。この綱引きこそが、初秋ならではの悩みと言えそうです。
2. 初秋のエアコン、正しい設定温度は?

真夏と同じ感覚でエアコンを使い続けていると、「寒すぎる」「電気代がかさむ」といったズレが生じがちです。この時期ならではの、ちょうどいい使い方を見ていきましょう。
目安は27〜28℃、その根拠とは
環境省は冷房使用時の室温の目安として28℃を推奨しています。これは2005年に始まった「クールビズ」がもとになっており、室温17度から28度までの範囲が法令で定められた基準にもとづき、その上限となる28度が目安とされています。ここで押さえておきたいのは、環境省が示す28℃はあくまで「エアコンの設定温度」ではなく「室内の実測温度」の目安だという点です。冷房を使うときの適正な室温として28℃が推奨されているのであり、設定温度そのものが28℃という意味ではありません。断熱性能や日当たり、部屋の広さによっては、設定温度を28℃にしても室温がなかなか下がらないケースもあるため、温度計を置いて実際の室温を確認しながら調整するのが理想的です。
初秋は外気温が真夏ほど高くないため、設定温度を下げすぎると室内外の温度差が大きくなり、身体への負担も増します。一般的に快適とされるのは27〜28℃前後。真夏に25〜26℃で運転していた人は、少し上げてみるとちょうどよく感じられるはずです。
日中と就寝時で変える
日中は活動量もあり多少暑さを感じにくいため、28℃前後でも十分。一方、就寝時は体温が下がりにくいと寝苦しさにつながるため、タイマー機能を使って数時間で切れるよう設定するのがおすすめです。一晩中つけっぱなしにするより、体への負担も電気代も抑えられます。人の深部体温は入眠後に徐々に低下していく性質があるため、室温が高すぎると寝つきが悪くなり、逆に冷やしすぎると夜間に体が冷えて目が覚めやすくなります。就寝前の1〜2時間だけやや低めに設定し、入眠後はタイマーで緩めるといった使い方も効果的です。
冷房より「除湿(ドライ)」が効く場面も
初秋は気温よりも湿度がこもって不快に感じるケースが多く、冷房でガンガン冷やすより除湿モードのほうが快適な場合があります。室温を下げすぎずにジメジメ感だけを取り除けるので、「寒いけど蒸し暑い」という初秋特有の感覚には除湿が向いています。なお除湿には「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があり、機種によって消費電力の傾向が異なります。弱冷房除湿は比較的電気代を抑えやすい一方、再熱除湿は室温を下げずに湿度だけ取る分、消費電力がやや高くなる傾向があるため、電気代が気になる場合は取扱説明書で自宅のエアコンの除湿方式を確認しておくとよいでしょう。
風向き・サーキュレーターの併用
設定温度を上げても快適さをキープするコツは、風の当て方です。風向きを上向きにして冷気を部屋全体に循環させたり、サーキュレーターや扇風機を併用したりすることで、体感温度を効率よく下げられます。冷たい空気は下にたまりやすいため、エアコンの風だけに頼ると足元ばかり冷えて頭側は暑いという「温度ムラ」が起きがちです。サーキュレーターで空気を循環させることで、設定温度を上げても快適さを保ちやすくなり、結果的に電気代の節約にもつながります。
3. 「つけっぱなし」は本当に体に悪いのか?

「エアコンのつけっぱなしは体に悪い」——そんなイメージを持つ人は多いですが、実際のところどうなのでしょうか。ポイントを整理してみます。
自律神経の乱れに注意
最も指摘されるのが、室内外の温度差による自律神経への負担です。屋外の暑さと室内の冷えを何度も往復すると、体温調節を担う自律神経が働きすぎて乱れやすくなり、だるさや頭痛、食欲不振、肩こりといった、いわゆる「冷房病(クーラー病)」の症状につながることがあります。一般的に、室内外の温度差は5℃以内におさめるのが望ましいとされており、特に初秋は屋外との気温差が真夏より不安定なぶん、この影響を受けやすい時期でもあります。屋外がまだ真夏並みに暑い日に室温を強く下げすぎると、外に出た瞬間の温度差が大きくなり、自律神経への負担がかえって増してしまう点にも注意が必要です。
「切る」より「調整する」ほうが体には優しいことも
実は、こまめにオン・オフを繰り返すよりも、緩やかな設定温度でつけっぱなしにするほうが室温が安定し、体への負担が少ないという考え方もあります。特に熱帯夜が続く時期は、夜間に完全に消して汗だくで目が覚めるよりも、28℃前後で朝までつけておくほうが睡眠の質を保ちやすいケースもあります。エアコンを頻繁にオン・オフすると、そのたびに室温が上下し、体はそのつど温度変化に対応しなければならず、かえって負担が大きくなることもあります。
「体に悪い」のはエアコンそのものではなく「使い方」
つまり、エアコン自体が悪者というより、冷やしすぎ・室内外の急激な温度差・長時間の同じ姿勢での冷風直撃といった「使い方」が体調不良の原因になっていることがほとんどです。
- ✓設定温度は27〜28℃を目安に、下げすぎない
- ✓風が直接体に当たらないよう風向きを調整する
- ✓1枚羽織れるものを用意し、冷えを感じたら調整する
- ✓就寝時はタイマーや弱運転を活用する
- ✓定期的に軽いストレッチや入浴で血行を促す
4. エアコンに頼らない住まいづくり

風の通り道がある間取りかどうか
窓が一方向にしかない部屋は空気がこもりやすく、エアコンなしでは過ごしにくくなりがちです。対角線上に窓が2つあるなど、風の入り口と出口がある間取りは自然換気がしやすく、初秋のような「エアコンをつけるか迷う気温」でも過ごしやすい傾向があります。内見の際は、窓の数だけでなく配置もチェックしてみましょう。
断熱性能は「見えない快適さ」を左右する
築年数の古い物件は断熱性能が低く、外気の影響をダイレクトに受けやすいため、エアコンをつけていても効きが悪く感じられることがあります。国土交通省が定める「断熱等性能等級」は1〜7の7段階で評価され、数値が高いほど熱の出入りが少なく、エネルギー効率の高い住宅であることを示しています。賃貸物件では建築時期や構造によって断熱性能に差が出やすいため、内見時には窓がペアガラスかどうか、サッシが樹脂製かアルミ製かといった点も、可能な範囲でチェックしてみるとよいでしょう。
日射しの入り方も要チェック
南向き・西向きの部屋は日当たりがいい反面、日射熱で室温が上がりやすく、初秋でも真夏並みの暑さがこもることがあります。特に西日が入る部屋は夕方以降も室温が下がりにくく、エアコンの負荷が高くなりがちです。遮熱カーテンやすだれといった対策グッズだけでなく、そもそもの窓の向きやバルコニーの庇(ひさし)の有無も、住まいの快適さを左右するポイントです。
「エアコンに頼らない部屋」はゼロにはできないが、選べる
完全にエアコン不要な部屋を見つけるのは難しくても、通風・断熱・日当たりを意識して物件を選ぶことで、「エアコンに頼る度合い」を減らすことはできます。設定温度や使い方の工夫と合わせて、住まいそのものを見直すことも、初秋の暑さと上手に付き合う一つの方法かもしれません。
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まとめ
初秋のエアコン問題は、「設定温度」「使い方」「住まいの性能」という3つの視点から向き合うことで、ぐっと快適になります。
- ・設定温度は27〜28℃(環境省が示す室温の目安を参考に)を基準に、日中・就寝時で使い分ける
- ・「つけっぱなし」自体が悪いわけではなく、冷やしすぎと室内外の温度差に注意すれば問題ない
- ・そもそもエアコンに頼りすぎない部屋(通風・断熱・日当たり)を選ぶのも一つの解決策
とはいえ、今住んでいる部屋の断熱性や風通しは、自分ではなかなか変えられないもの。「今の部屋、実はエアコンの効きが悪い気がする」「引っ越しを考えている」という方は、この機会に住まいそのものを見直してみませんか?

執筆監修

趙暉士(ちょうきし)|宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
賃貸リーシングとコンサルタントを経験し、後に売買仲介業務に従事。
(株)大京穴吹不動産、都心営業部、渋谷店、流通営業1課



