
更新料 2年ごとに家賃1ヶ月分払うのって、何のため?
賃貸物件に住んでいると、2年ごとにやってくる「更新」のタイミング。契約更新の通知が届いて、「また更新料を払わなきゃいけないのか…」とため息をついた経験、ありませんか?家賃1ヶ月分という決して安くない金額を、なぜ払わなければならないのか。そもそも更新料って何のためにあるの?法律で決まっているの?
実は更新料については、多くの人が疑問を持ちながらも、「そういうものだから」と支払っているのが現状です。でも、更新料の仕組みをきちんと理解すれば、今後の賃貸選びで損をしないための判断材料になります。
この記事では、更新料の正体から相場、そして更新料なしの物件の探し方まで、詳しく解説していきます。
目次
- 1.更新料とは?
- 2.相場や支払時期は?
- 3.更新料なしの物件はある?
- 4.支払わなかったらどうなる?
- 5.まとめ:更新料の負担を減らすなら
1. 更新料とは?
更新料とは、賃貸借契約の契約期間が満了した後に、同じ物件に引き続き入居する際に貸主(大家さんや管理会社)へ支払う費用のことです。一般的に、賃貸借契約は2年間で設定されていることが多く、2年ごとに契約を更新するタイミングで支払いが発生します。
「え、家賃をずっと払っているのに、なんで更に お金を払わないといけないの?」と思いますよね。実は更新料には明確な法的根拠がないんです。
更新料の歴史的背景
更新料の慣習は、もともと戦後の住宅不足の時代に生まれたと言われています。当時は「住み続けさせてくれてありがとう」「更新してくれてありがとう」といった、借主と貸主双方の感謝の気持ちを形にした、いわば「謝礼金」のような意味合いがありました。
住宅が不足していた時代、大家さんが「この人には引き続き住んでもらおう」と判断してくれることは、借主にとって大きな恩恵だったのです。そのため、更新時に感謝の意を示す金銭を支払う慣習が定着していったと考えられています。
現代における更新料の性質
しかし、時代が変わり、現在では更新料の意味合いも変化してきました。現代の更新料は、以下のような複数の性質を併せ持つと考えられています。
① 家賃の補充
物価の変動や建物の老朽化などを考慮し、実質的な家賃収入を維持するための補充金としての側面があります。毎月の家賃を値上げするのではなく、2年に1度まとめて調整するという考え方ですね。
② 契約継続の対価
契約を継続するという行為そのものに対する対価という側面もあります。新たに入居者を募集する手間やコストを考えると、継続して住んでもらうことは大家さんにとってもメリットがありますが、その継続に対する一定の対価という位置づけです。
③ 物件維持の一部負担
建物や設備の維持管理費用の一部を、長期入居者にも負担してもらうという考え方もあります。長く住めば住むほど、建物の劣化や設備の消耗も進みますからね。
更新料に法的根拠はない
ここで重要なポイントがあります。更新料には、実は法的な根拠が存在しないんです。
民法や借地借家法などの法律には、更新料を支払わなければならないという規定はありません。
ただし、「法的根拠がない」ことと「支払わなくていい」ことは別問題です。賃貸借契約書に「更新料を支払う」という特約が明記されており、その特約が有効であれば、契約上の義務として支払う必要があります。
実際、過去には更新料の有効性を巡って裁判になったケースもありますが、最高裁判所は2011年に「更新料は、一般的には賃貸借契約の対価としての性質を有し、特約が存在する限り有効である」という判断を示しています。つまり、契約書に書いてあれば基本的に支払う義務がある、ということですね。

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2. 相場や支払時期は?
それでは、更新料は一般的にいくらくらいなのでしょうか?
最も一般的なのは「家賃1ヶ月分」で、全体の約77%を占めています。例えば、家賃が8万円の物件であれば、更新料も8万円ということになります。
ただし、これはあくまで相場であり、物件によって異なります。地域や物件の種類、築年数などによっても変わってきます。
- 家賃1ヶ月分:最も多いパターン(約77%)
- 家賃0.5ヶ月分:比較的良心的な設定
- 家賃2ヶ月分:高級物件や人気エリアで見られることも
- 更新料なし:後述しますが、こういった物件も存在します
地域による違いも大きく、東京や神奈川などの首都圏では更新料を設定している物件が多い傾向にありますが、大阪や名古屋など、更新料の慣習があまりない地域もあります。
更新料以外にかかる費用
更新のタイミングでは、更新料以外にも費用がかかることがあります。
① 更新事務手数料
管理会社が契約更新の事務手続きを行う対価として請求される費用です。相場は1〜2万円程度が多いですが、物件によって異なります。
② 火災保険料
賃貸物件では火災保険への加入が義務付けられていることが一般的で、2年契約の場合は更新時に再度加入が必要です。相場は1〜2万円程度です。
③ 保証会社の更新料
保証会社を利用している場合、保証会社への更新料が発生することもあります。相場は家賃の0.3〜1ヶ月分程度です。
支払時期とタイミング
更新料の支払いタイミングは、一般的に契約満了の1〜2ヶ月前です。
例えば、2026年3月31日に契約が満了する場合、2月初旬から中旬頃に管理会社から更新の案内が届き、3月末までに支払いと契約手続きを完了させる、という流れが一般的です。
ここで注意したいのは、契約期間が満了する前に手続きを完了しなくてはならないという点です。契約満了日を過ぎてから「そういえば更新料払ってなかった」となると、トラブルの原因になりかねません。
更新手続きの一般的な流れ
- 契約満了の2〜3ヶ月前:管理会社から更新の案内が届く
- 契約満了の1〜2ヶ月前:更新書類に記入・捺印し、更新料を支払う
- 契約満了日まで:新しい契約書を受け取る
案内が届いたら、できるだけ早めに対応することをおすすめします。ギリギリになって慌てることのないよう、計画的に準備しておきましょう。

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3. 更新料なしの物件はある?
賃貸住宅の中には、更新料がない物件も実際に存在します。
「本当にそんな物件あるの?」と疑問に思うかもしれませんが、確かにあります。ただし、物件数としては更新料ありの物件の方が多いのが現状です。
東京都を例に取ると、約65%の物件が更新料を請求しているというデータがあります。逆に言えば、約35%の物件は更新料がないということになりますね。
地域によっても大きく異なり、関西圏や北海道などでは更新料の慣習がない地域もあります。特に大阪では、更新料なしの物件が主流です。同じ日本国内でも、これだけ違いがあるんですね。
更新料なし物件を見つける方法
不動産会社を訪れた際に「更新料なしの物件を探している」という旨を明確に伝えてみましょう。
更新料なしの物件には、傾向があります。
① 定期借家契約の物件
定期借家契約とは、契約期間が決まっていて、期間満了で必ず契約が終了する契約形態です。更新という概念がないため、更新料も発生しません。ただし、契約期間終了後も住み続けたい場合は、再契約が必要になります。
② 新築・築浅物件
入居者を早く集めたい新築物件や、競争力を高めたい築浅物件では、「更新料なし」を売りにしているケースがあります。
③ 郊外や地方の物件
都心部に比べて競争が激しくない郊外や地方の物件では、入居者確保のために更新料を設定していないことがあります。
④ 管理会社や大家さんの方針
「長く住んでもらいたいから更新料は取らない」という方針の管理会社や大家さんもいます。
4. 支払わなかったらどうなる?
更新料の支払いを拒否したり、うっかり忘れたりしたまま住み続けると、最悪の場合、強制退去になることもあります。
先ほども触れましたが、賃貸契約書に更新料についての記載があれば、法的根拠がなくても支払う義務があります。
これは、契約自由の原則に基づくものです。双方が合意して契約書に署名・捺印した以上、その内容は有効な契約として扱われます。つまり、契約書に「更新料は家賃1ヶ月分」と書いてあれば、それは守らなければならない約束なんですね。
「忙しくて更新の手続きを忘れてしまった」というケースもあるかもしれません。しかし、残念ながら「忘れていた」という理由は、基本的に通用しません。
契約満了の1〜2ヶ月前には管理会社から案内が届くはずです。その案内を見逃したとしても、契約満了日は契約書に記載されているはずなので、「知らなかった」という言い訳は難しいでしょう。
支払いが難しい場合の対処法
① 早めに管理会社に相談する
② 引っ越しを検討する
③ 更新料の減額交渉をしてみる
トラブルを防ぐために
① 入居前に契約書をよく確認する
入居時に契約書の更新料に関する条項をしっかり確認しておきましょう。「更新料あり」なのか「なし」なのか、金額はいくらなのか、明確に把握しておくことが大切です。
② 更新時期を把握しておく
契約満了日をカレンダーやスマホのリマインダーに登録しておくと、うっかり忘れることを防げます。
③ 疑問点は早めに質問する
更新料について疑問や不明点があれば、更新案内が届いた時点で管理会社に質問しましょう。「こんなこと聞いていいのかな?」と遠慮する必要はありません。
④ 管理会社との良好な関係を保つ
普段から管理会社や大家さんと良好な関係を築いておくことも重要です。何かトラブルがあったときに相談しやすくなりますし、交渉の余地も生まれやすくなります。
のちのちのトラブルを防ぐためにも、更新料の取り扱いについては、入居時や更新時に大家さんや管理会社にしっかり確認しておくことがおすすめです。
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まとめ:更新料の負担を減らすなら
正直なところ、2年ごとに家賃1ヶ月分という出費は決して小さくありません。4年住めば2ヶ月分、6年住めば3ヶ月分…と、長く住むほど積み重なっていきます。
「更新料を払うのは仕方ないこと」と諦める必要はありません。最初から住み始める際の初期費用を抑えることで負担を軽減できるんです。
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執筆監修

趙暉士(ちょうきし)|宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
賃貸リーシングとコンサルタントを経験し、後に売買仲介業務に従事。
(株)大京穴吹不動産、都心営業部、渋谷店、流通営業1課
